2011.9.12(2011.10.12 komoriharuka)

あの4月の時の「八戸まで北上しよう」という決断は私たちの活動にとって
とっても大きなものだったと思う
あの時八戸まで行けたことで
この沿岸全部に津波が来ていることを
自分の目で見てやっと知る事できた
ニュースで聞いた事のない地名の被害を記録しようというのも
いろんなきっかけはあったけど、このことが大きかったような気がする
だから、今回の東北一ヶ月滞在の中で
八戸に行きたいなというのは
瀬尾も私も自然と思っていたと思う
また今回も謎の無茶で陸前高田から八戸まで来てしまったのだが
八戸に来るタイミングっていつも無茶な勢いがある

お昼近くまでぐっすり寝てしまった
そしてお風呂に入っていないのでそのまますぐ近くのお風呂屋さんへ
そしてショッピングセンターへ
この一帯はたくさんのお店が集まった複合ショッピングセンターである
すぐ近くは海だけどあまり津波が来たようには思えない
来ていたけどわからなくなってしまったのか、それとも来てないのかわからない
八戸まで来るとさすがに震災の跡が見えにくい
風景を見ていてもそうだし、人々を見ていてもそうである
本屋には震災関連の本がほとんど置いていなかった
最新の雑誌の特集ぐらいはあったけれど
確かに4月私たちが来た時点でも八戸港付近にきてようやくここに津波がやっぱり来ていたのだと分かったぐらいであった
避難所も数カ所に減っていたし、災害ボランティアセンターも閉鎖していたと思う
9月来たらもっと分からなくなっているのは当然だなと思うけど
あまりにもその感じがない
そして私たちはショッピングセンターで2人とも靴を買った

それから八戸の社会福祉協議会へ取材のお願いをしにいった
その日は担当者の方がいなかったので、明日の朝お願いする事になった
なので三沢のボランティアセンターへ行ってみることにする

三沢も5月に一度訪れたことがある
その時は三沢漁港の近くではがれたアスファルトを工事していたり
回りにもペンションのようなものが壊れたまま残っていたり
瓦礫が集められて積み重なっていたりした
辺り一面ほとんど更地の状態だったが、
たまたまお会いした地元の方に聞くと建物があったとのことだった

社会福祉協議会へ行くと局長さんが取材に応じてくださった
青森県でボランティアセンターを立ち上げたのは三沢と八戸だけである
三沢には米軍基地があるため、アメリカからの支援がたくさんあったという
ニュースで見ていた「トモダチ作戦」である
仙台空港など大きな施設で聞いたことはあったけど
もっと小さな民家にもトモダチ作戦が実行されていたとのはじめて知った
他の地区ではあまり聞いたことがなかったためちょっと驚きだった
ボランティアセンターにも青森県の他の市町村からたくさん人が集まり
民家の瓦礫撤去や松林の掃除もしたようだった
いろんな地区で取材してきた時に、地元の人以外の人が家に上がって
ボランティアをすることに最初は少し抵抗があったという声を聞いたが、
ここでは元々アメリカ人が5人に1人はいるようで
外人さんが家にきても驚いたりすることはなかったという
むしろ一緒にこの町に暮らしている同じ住民であるという意識の方が強いという
そんな場所がこんな日本の先にあったのだなーと思うとなんだか不思議である
米軍があることで海外からの支援もたくさんあったという

取材を終えて三沢漁港へ
三沢漁港には以前あった建物もなくなっていたし瓦礫もなくなっていた
漁港には船の音がしていた
少し薄暗い時間帯で小雨が降っていた
電気のついた船が並んでいる
イカ釣りの船だった
大きな電球がたくさんぶら下がっている
漁師さんたちが船に乗っている
大きな氷の機械が船の中に氷をいれているところだった
漁は次第に各地ではじまっていると聞いていたけど
こうして目の前で見るとなんだか本当に嬉しくなってしまって
この風景がまた見ることができるようになってよかったなと思う

しばらくぼーっと見ていた
瀬尾は雨なのに傘もささず写真を撮っていた
その時彼女が撮っていた写真を後から見たのだけど
いい写真だなと思った
あんまり写真の良し悪しが私には分からないのだけど
写真を撮る姿って、外から見てると黒い機械を構えていて
一瞬のカシャってのが終わるとまた違うところを見てカシャってなっていって
見てる方向はわかるから船を撮ってるんだなとか、海を撮ってるんだなぐらいは分かって、個人的にその光景を見てるととっても面白いのだけど
特に瀬尾を見てると面白いのだけど
彼女が撮った写真を見ると、見ていたものというよりか、その一瞬というのがもっとはっきり分かって、あ、これを撮りたかったんだなとか、
止まってしまった一瞬の中でこんなことがあったんだなとかが見えたりして
それは写真全般そうなのかもしれないけど
とにかく、瀬尾が撮る写真は好きだなと思った

で、船を見ていたら魚が食べたくなって、魚食べようとか盛り上がっていたけど
結局お金のない私たちはカッパ寿司で満足してしまった

それから初の車中泊にむけてショッピングセンターで準備をする
さすがに青森なので夜はとても冷え込んでいた
2人とも古本屋で本を買って、電気屋で車から電気のとれるコンセントを買った
なんでかわからないけどすっごくわくわくしている
わたしはアイスを買って瀬尾はヨーグルトを買った
朝食用のパンも

外は工場の煙がもくもくでていて、空はなぜか赤くて変な風景だった
まわりに車は一台もない
途中おまわりさんにたばこを吸ってるところを声をかけられる
怒られるかと思ったけど特に何も言われず、
青森は寒いでしょーとか言われて終わった

シビックだけど意外と寝てみるとそんなに狭いとは思わなかった
どちらかが寝返りをうつと車が揺れるのが面白かった

 

 9.12(10.12)