2011.9.28(2011.10.28 komoriharuka)

 

朝は南相馬のボランティアセンターへ
南相馬で最初にお会いしたSさんに改めて取材をお願いして伺った
Sさんは静岡出身で南相馬市に嫁いできた社会福祉協議会の職員さんである
震災後、原発の問題が表にでてから避難するかしないかという選択肢を迫られた
旦那さんは仕事もあるし、旦那さんのご実家が津波で流されてしまったため、
ここを離れることはできなかった
Sさんにも社会福祉協議会の仕事があったのだが、
まだ小さなお子さんもいるなかでここにいてはいけないと思い
旦那さんを残して夜中に群馬の親戚の家に避難したそうだ
まだガソリンも簡単に手に入らない時期で群馬まで行くのは大変だったという
避難した人の中では福島ナンバーというだけでガソリンを入れてもらうことすらできなかったそうだ
群馬での生活は、すごく穏やかで、福島のニュースはテレビで見ていて
当事者から離れた目で毎日南相馬の様子を気にしていたという
それでもやっぱり家族バラバラの生活を続けるのにも限界があり
社会福祉協議会のお仕事も、みなさんに申し訳ない気持ちで
宮城に新しく部屋を借りてそこで家族みんなで住むことになったようだ
Sさんは一つ一つのことを丁寧に話してくださって
私の知ることのなかった原発の問題を伝えてくれた
今は宮城の家から1時間半もかけて毎日出勤していらっしゃる
食料もネットで安全な地域から買ったり、
お子さんのことにもすごく気を使っていた

南相馬市にある家は建ててまだ間もないそうだ
これからまたここに住めるかどうかもわからないけれど
心配なので、たまに家の中を片付けたり様子を見に行ったりしているという
これから家族がどうなっていくのかも、今の生活もいつまで続くのかわからない状況だけれど
やっぱり家族みんなで暮らすのが一番です、と仰っていた

子供もう1人ほしいなと思っていたけどあきらめましたと
Sさんが何気なくおっしゃっていた
その言葉はあまりに普通に出てきて、
そうですよね、と答えることしかできなかった
そんなことがあってはいけない
でも、Sさんだけでなく、南相馬市に住む多くの女性が同じことを口にするであろうことも想像できた
ここでは、子供が欲しくても産んでよいのだろうか、という疑問が当たり前のようについてくるようになってしまった
結婚をして、子供を産んで、という生活が当たり前のこの田舎町で
若い女性がそんなことを考えなければならないなんて
やっぱりおかしすぎると思う
そんなことが日常の中にもう起こってしまっているのに
それでも世の中は変わりなく動いているし
みんなもう忘れてきてしまっているし
ここに住む人たちはこれからずっと忘れることなんてできないのに
いくら考えても私にもどうにもできないし、誰かがどうにか出来る問題でもないのだけれど
それに対して向き合わなければいけないのは
絶対に当事者だけではないと思う
このどうにもできない大きな問題に向き合っているのは
結局個人で、それも些細な日常に次々にのしかかってきている
そのことを分かることができるのもやっぱり個人であると思う
またSさんにはお会いしにきたいと思う
何かできる私たちではないけれど、本当に色んなことを伝えて頂いた
そのことは絶対にわすれないようにしたい

それから亘理へ向かう
亘理の社会福祉協議会へ
私は8月に一度局長さんにお会いしたのだが、
その時は映像で記録できなかったので改めてくることに
色んな方からうわさに聞いていたSさんという女性のスタッフさんに会いにいくと
取材をさせていただけるとのことで、もう1人男性のスタッフさんも一緒にお話を伺った

亘理のボランティアセンターは、前に来たときも思ったのだけど
すごく明るくて、県外からきたボランティアさんがずっとその場に留まってボランティアを続けていた
最後の方はチームまで出来ていて、新規の方はそこに参加する形で活動していたようだ
作業もプロ化してきていて、大工さんではないとできない仕事まで行っていたという
となりの山元町に比べて随分とオープンで、リピーターも多かったそうだ
それがスタッフさんの雰囲気からもすごく伝わってきた

Sさんはずっと働きっぱなしで、一時期その疲れがでたのかとても落ち込んでいたという話を聞いていたが
お会いしたら今は元気そうで、安心した

亘理、石巻、岩沼、仙台のボランティアセンターは横のつながりがあるらしく
他のセンターの取材のお話をとても気にされていた
横のつながりがあるのもとてもめずらしく、他の地区では、
となりのボランティアセンターがどうやって活動しているかをあまり知らないと聞いていたので驚いた
仙台に色んな機関が集中しているからなのか、
他の場所でもあるといいのになと思う

亘理のTシャツまでいただいてしまった
とてもかわいいわたり蝶のTシャツである

この日はとても疲れていて、昨日石巻のおばちゃんにもらったなしを食べて
もう8:00には瀬尾が寝てしまった
瀬尾もだいぶ疲れているのだなと思う
私は少し起きていたけどそれでも早い時間に寝た

 

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